徒然なるままに、気が向くままに

日々徒然から、サイトの更新まで、笑える日常(でも、本人まじめ)を目指すぞー(笑)

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2016年5月 ペーパーSS  

2016年5月スパコミ&通販で配布したペーパーSS(GH)になります。

「ほら、麻衣ちゃん素敵でしょう」
 二階から降りて来るなりまどかは自信満々に言うが、言われた当人は背中を丸めて縮こまって俯いており、まどかが自慢するほど素敵には残念ながら見えない。
 不思議な光沢があり光の当たり具合によってその色味の濃度が変わるが、基本的にはオレンジをベースとした色なのだろう。花びらのように幾重にも重なってふわりと広がっており、確かに麻衣の肌の色味と似合っているが・・・・
 微かにナルの眉宇があがったことに気が着いたまどかは、ニヤリと人の悪い笑みを浮かべると、麻衣の肩を掴んでくるりと回転させた。
「じゃーん!」
 ふわりと広がるドレスの裾はウエスト辺りで絞られ、そして・・・・背中がぱっくりと開いている。バックレスドレスと呼ばれるタイプのドレスだ。
「ま、まどかさんなにるすんですか!」
 いきなりの事に麻衣は真っ赤になって、今にもその場から逃げ出しかねない勢いで叫ぶ。
「こんな綺麗な背中隠すのもったいないじゃない?」
「ふ、ふ、普通の背中です! それに・・・」
 麻衣はナルをちらりと見ると、うめき声を漏らす。
「ナルのパートナーなんてあたしには無理ですよ!月にスッポン! フランス料理に添えられるパセリですよ!パセリ!」
「そうよ!ナルがパセリなのよ!」
「いや違うし!」
 すでにパニックを起こしているのか、涙目になっていることに気がつくと、まどかは苦笑を浮かべながら、化粧が落ちないようにハンカチの角でそっと涙を抑える。
「初めてのことで緊張しているのね。でも麻衣ちゃんなら大丈夫よ」
 自信持ってと軽く抱きしめてあやすように背中を叩くと、まどかは「さて」と呟いて離れる。
「後の仕上げは自信だけね。それはナルじゃないと無理な話よね」
 先に会場に行っているわ。と言い置いてまどかはさっさと出て行く。
 そんなまどかを、まるで飼い主に捨てられた子犬のような目で見る麻衣にナルは溜息を一つこぼす。
「見劣りはしないんじゃないか?」
「・・・・・・・・ナルに言われてもちっとも嬉しくない。無駄に脚長いし腰細いし、タキシード似合っているし顔は相変わらず憎たらしい程綺麗だし。髪なんてセットしていつもより大人びているし。ナルの隣になんて立ったら白鳥の隣に蛙が居るようなもんじゃん」
 なぜそこで蛙に己を例えるのか。
 そこまで卑下する必要はないだろうと思うのだが、麻衣はすっかりとひねている。
 麻衣が思うほど見劣りするとはナルは思わないのだが・・・・まどかの言うとおり自信が最後の仕上げか。とひとりごちる。
「お前が蛙だとしてもだ」
 ナルがあえて否定をしないで居ると、それはそれで面白くないのだろう。
 小さな子供のように頬を膨らませてそっぽを見る。
 面倒なヤツだな。そう思うなら確実に放置していただろう。
 だが、そう言うわけにはいかないのは、相手が麻衣だからだ。
 溜息・・・というよりも苦笑が漏れると、その背に触れて伸ばす。
「背筋を伸ばして顔を上げろ」
「だって・・・・・・・・」
 日本で生活している限り絶対に着るはずのないドレス。
 友達の結婚式に招待されたとしても、こんな芸能人ぐらいしか着なさそうなドレスを着ることはないだろう。
 ナルはいい。
 ついやっかみ的に漏れてしまったことだが、タキシードが嫌味なぐらいに似合っている。さらにいつもは降ろされている前髪が後ろに流されているせいか、その怜悧さに磨きが掛かり、麻衣ですら少し近寄りがたい雰囲気を放っている。
 そんなナルの隣になぜ凡人代表の自分が並び立てるというのだ。
 自分がただ嘲笑されるだけならいいが、それはすなわちそんなパートナーしか用意できなかったナルにも向けられるのではないか・・・・そう思うと足が竦む。
 やっぱりルエラかまどかに変わって貰った方が絶対にいいはずだ。
 すっかり萎縮している麻衣にナルは、さてどうするか・・・考えたのはほんの一瞬。
 目を細め細いうなじに視線を落とすと、すっと身をかがめて白い項に唇で触れた。
「んぎゃっ!?」
 まるで、猫がしっぽを踏まれたような声を発して飛び退いた麻衣は、首を両手で隠して真っ赤になってナルをにらみ付ける。
「いきなりなにすんじゃい!」
「何っておまじない」
「なななにいっているの! 絶対痕つけたでしょ!」
「髪に隠れて見えない」
「んなわけない!」
 唇の触れたところは髪先が触れるかどうかと言う所だ。
 隠れるわけがない。
「お前が背筋を伸ばして、顔を上げていれば見えない」
 ナルはそういって麻衣の手をどかし髪に指を通す。
 さらりとした柔らかな髪が指の間を抜け落ち、首筋におちる。
 自分のつけた痕跡は、髪先がうまくかかり目立ったない。
「・・・・・・・・」
 ナルの意図に気が着き麻衣は窒息寸前の金魚のように口をパクパクさせ、ナルは勝ち誇ったような笑みを浮かべ、一歩足を出して振り返る。
「時間が無い」
 行くぞ。といいかけて口を閉ざすと、足を一歩引いて腰を少しかがめて手を麻衣に差し出す。

「お手をどうぞ」

 優雅な笑みを浮かべて差し出された手を見て、麻衣は顔を真っ赤にしながら手を伸ばした。  


                                           END
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